皆さまこんにちは。東京都中央区新富の榎本歯科医院、歯科衛生士の緑川です。
年々タバコの値上がりや喫煙スペースが減ってきたりと喫煙者にとっては肩身が狭くなってきていますよね。。。
健康を考え禁煙を検討している方も多いのではないでしょうか?知っている方もいらっしゃることと思いますが喫煙は歯周病にも強い影響力があります!!重度の歯周病の方には禁煙を勧めていますが、実際どのような影響があるのか今回はそのことについて少しまとめてみました^^
歯周病とタバコの関係
歯周病は歯と歯肉の境目に付いた歯垢(プラーク)の中の細菌によって歯肉が炎症を起こし、歯を支えている骨が破壊されていく病気で、以前は歯槽膿漏(しそうのうろう)と呼ばれていました。この歯周病を予防するには、毎日の歯磨きや定期健診時のクリーニング等で歯垢を取り除くプラークコントロールが最も有効です。ところが近年このプラーク以外に重大なリスクファクター(危険因子)があることが徐々に明らかになり、その代表的なものがタバコなんです!
タバコの煙には、ダイオキシンなどの発癌物質二百種類を含めて、二千種類以上の有害物質が含まれています。その中でタール・一酸化炭素・ニコチンが3大有害物質といわれています。長期に渡ってタバコの煙を吸入することで、直接的に口腔の組織に障害を及ぼすだけでなく、肺胞を通して有害物質が体内に入り込む事によって、体の抵抗力を低下させます。また、炎症によって壊れた組織の修復能力も低下することで、歯周病の進行を促進して治りづらくするのです。
一般にタバコを吸う人は、吸わない人に比べ3倍も歯周病にかかりやすく、また2倍も多く歯を失っているという報告があります。また喫煙本数と比例して歯周病が重症化することも分かっています。
タバコが歯周病を悪化させてしまう理由としては、
- 歯周病菌と戦う白血球の機能が低下してしまう。
- 歯肉に酸素や栄養を供給するのに大切な血管が、タバコのニコチンにより収縮してしまう。
- 歯肉を修復するために必要な線維芽細胞の働きが抑制される。
- 歯と歯肉の境目にある溝の中の酸素が不足し、酸素が大嫌いな歯周病菌にとって繁殖しやすい環境を作ってしまう。
- タール成分の付着が歯周病の原因となる歯垢、歯石を付きやすくする。
などがあります。また、タバコは歯周病を悪化させるだけでなく、タバコはお口の中にいろいろな悪影響を与えます。ヤニで歯が汚れるだけでなく、メラニンが沈着して歯肉が黒くなり、線維性のゴツゴツした歯肉になります。また舌の表面の細かい突起部分に舌苔(歯垢と同じ細菌のかたまり)にまみれてヤニが沈着し、ひどい口臭を発します。さらに味覚を感じる器官をヤニまみれの舌苔が覆い、味覚を鈍麻させてしまいます。タバコをやめると食べ物がおいしく感じるのはこのせいです。また味が感じにくくなると、自然と味つけの濃いものに食事が偏り、これが高血圧等の生活習慣病の原因にもなりえます。口の中にできるガンのリスクを高めるのも喫煙です。
禁煙のススメ
歯周病の主原因はプラーク中の細菌です。したがって歯周病を治すには、まずプラークコントロールが第一です。タバコをやめたからといって現在ある歯周病が自然に治るわけではありません。しかし、タバコをやめ、正しいプラークコントロールを行い適切な歯科治療を施すことで、歯周病を大幅に改善させることが可能なのです。逆に禁煙しないかぎり歯周病の改善はなかなか難しいのが現状です。。。もし禁煙することで歯周病だけでなく、口腔ガンのリスクも減り、口臭が減る、食べ物がおいしく感じられるなど、利点をあげれば数えきれません。
なかなか環境等でやめられない方もいらっしゃることと思いますが今一度ご検討いただければ幸いです。
「タバコを諦めますか?それとも、一生分の美味しい食事を諦めますか?」